新百合丘エルミロード 初笑いイベント 1998年1月10日

ひとことで言うならば、今日のイベントは恐怖の青砥を越えた。
将棋倒しもあった。警備員がケガをした。結局2回目は中止になった。
こう書くと怒りがわいてきそうだが、今回は怒りも湧かない。あきれるばかりである。
誰が悪いのか、しいて言えばいつもの通り会場側の、つまりは大人の対応。
でも、中止が決まったあとの会場側の対応を見ていたら会場だけの責任というにはあまりに可哀想な気もしてくる、
実に後味の悪いイベントだった。

1回目が14時スタート。始めは客の出足が悪かったものの、だんだん開演が近づくにつれ会場の人数は
膨れ上がり・・・。6階までの吹き抜けの会場だったのだが、6階までの人数を見渡す限りでも
1500人は軽く越えていると見えた。1階は高島屋、田無と同じく舞台前に約80席くらいの座席が用意され
そのうしろに立ち見というスタイルになっていた。この形式が一番ヤバいという連絡は業界で流れないものなのだろうか。
最初は座って待機していたうしろの立ち見の客が一度たった途端に一気に会場の様子は悪化した。
前へと詰め掛ける客にあちこちで「痛い〜」「押さないで」といった悲鳴が飛び交う。これがまだ開演20分前である。
今回の会場で今までのイベントと大きく違ったのが、注意を促す立場の係員がひとりも出てこなかったことである。
女性のアナウンスで「できるだけたくさんの方に見ていただけるように立ってご覧になるお客様は、出来るかぎり
詰めて頂いて・・・」と、今にも将棋倒しになりそうな会場に更なる押し合いを呼びかけているありさまだった。
警備体制はというと、白いプラスチックのチェーンが舞台周辺を取り巻いているだけ。舞台の左端と右端は
溢れたファンがすでに舞台にかぶって立っている状態。あげく、押されたら何の押さえもなく簡単に倒れそうな
場所に頑丈なスピーカーが立っている。あれが倒れて頭を直撃したら、頭割れるぞ、間違いなく。

そんな混乱した状態のまま、あちこちから悲鳴が聞こえているまま、司会がただひとこと「それでは、ネプチューンの
登場です」と言っただけで、イベントはスタートした。3人が出てきたと同時に10数人が将棋倒し。
ネプチューンの3人の「あぶないっ!」の声にやっと会場側のスタッフ2〜3人と、警備員1人が出てきた。
警備員といっても年の頃でいったら会場の客のおじいちゃんクラスの男性1人である。あっけなく、案の定
警備員のおじさんも将棋倒しの犠牲となっている。私たちの座る椅子席もどんどん浮いた感じになってきて
前へ前へと椅子ごと動かされている。普通だったら中止の状態だ。だけども会場側はただ「押さないで下さい!」の一点張り。
かわりにネプチューンの3人が危険回避の誘導にあたる始末。一言しゃべるごとに、人が倒れる。「後ろに下がって!」と
会場をなだめようとしているのはネプチューン・・・。おいっ、体育会系のクラブなら今ごろ主催者みんなグーでビンタだっ!

「あぶないっあぶないあぶない、おおおっ、ほんまほんまほんま、おちついて、おちついて」
「ほんまほんまあぶないあぶない、ストップねストップ。警備員さん大丈夫ですか、まじで、危ないから」
「あぶないあぶない、おしたらあかん、おしてるの誰や、正月だからって押したら、おしくら饅頭したらだめ」
「あぶないあぶない〜。おさないように、おさないように」「百合丘というのは、川崎市・・・あぶないっ!」
「あかんあかんあぶないあぶないっ、おまえら満員電車か」「マジでおさないでくださーい」
「僕ら休み明けで、まだ・・・ほら、そこ警備員さんが危ないことになるよ、あぶないあぶないっ」
「あぶないっ、あぶないっ!ケガするよ、あ〜おいおいおいっ!あ〜あ〜。おまえら、なんか遊びか!
(動かないように踏ん張って)なんか動きそうになったら屁して(笑)」
「(エスカレーターから覗き込んでいたおばちゃんが落ちそうになって)あぶないっ、おばちゃんあぶないっ!」
「警備員さん危ないから!本当にケガするよ。おまえ、誰かこれ押してるやろっ!」
「一歩ずつ下がろう・・・申し訳ない・・・一歩ずつ下がってください。」
「子供とかおるから、あぶないよ、ほんまに・・・」
・・・・これ、最初の5〜10分くらいにネプがしゃべっていたこと。結局注意だけ。
こんなことをゲストにさせるか、ふつう?

でね、だけどね。将棋倒しで倒れていた人々が本当に悲惨だったかというと、そうでもなかったようなんだ。
倒れながらも、しっかり写真を撮りまくる。起き上がりながらもシャッターだけは押している、だってそうよ。
ネプの3人が心配して自分たちの方に来てくれているんだもん、シャッターチャンスよね・・・って大バカッ!

その頃、私たちはこれ以上前に行かないようにと舞台に足を踏ん張って後ろの人を支えようと努力してた。
イベントが終了したあと、座っていたにも関わらず足が震えていたのは、そのせいだと思う。

ショートコント「ドラキュラ」「狼男」「宴会芸」「ここまで出てるのに」「作文」
一番頭に来たのは、このネタの最中にまた今度は私たち側で人が倒れてきて、ネタを遮ってしまったこと。
怒りの矛先がどこにも向けられないだけに、余計に頭にくる。
「子供電話相談室」の最中も、ネタを遮りリズムをくずすハメとなった。あ〜最悪。ここまでひどいのは初めて。
結局、コントがロクに出来ないままイベントは20分程度で終わってしまった。終了後も会場は大混乱。

私がいたあたりでは「もう中止にした方がよっぽどまし」という意見が出て、なかでもセクシーポリスマン1号さんは
司会者の女性のマイクをもうすこしで奪って、会場にぶちギレるところだったし・・・。
結局2回目を見ないうちに、帰ろうということに。賛成だ。別に注意の声を聞きに来たワケじゃない。
彼らのあんなに疲れる表情を見に来ているワケじゃない。会場の雰囲気は決していい方向に向上するとは
思えなかったこともある。2回目は中止にすべきだと本当に思った。
そして、皮肉なことに徹夜組のファンが気がつけば2回目を諦めて、みんな殆ど立ち退いていた。
徹夜までするくらいのファンだからこそ、そういう雰囲気を読めたということなのだろう。

会場を出て、しばらく時間をつぶしたあと会場付近を通るとやけに人の出が激しい。中を覗いてみるとやはり中止に
なっていた。残っていた人の話だと会場側のスタッフが5〜6人出てきて中止のことを説明したあと頭を下げたそうである。
会場側の責任・・・確かに重い。勉強不足は否めない。この謝罪の話を聞いた時、正直、当然だと思ったが
その後、さらに私が友人たちとも別れて買い物をしていた時に、中止が出てから30分はたっていただろう会場で
中止の説明を求め、くってかかっている小学生・中学生に頭をさげる係員の姿を見てたら、なんか可哀想になった。
居たたまれない。お笑いという世間の勉強不足で、企業のイベントを失敗に終わらせた企業人としての謝罪する姿、
自分たちの非をすっかり棚にあげて、大人たちに文句を言う子供すぎる子供たち。
それを傍観することだけで終わった1ファンの私。どれも後味めちゃ悪し。
せめてもの救いは、今日1日一緒に行動してくれた心優しいセクシーポリスマンたちの潔さだった。
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