****公演の概要****




オープニング。

ライトに浮かび上がる片桐仁。舞台向かって右、正面を向いて立っている。そして暗転。次の瞬間には、いつもの位置、左に立つ片桐。またもや暗転。3度目の照明で小林賢太郎登場。ポジションは片桐が最初に登場したのと同じ。一方片桐は、左奥で背を向け直立不動。そして暗転・・・。

  1. 創作朗読合戦

    照明がつくと、二人は向かい合い、頭をつき合わせながらにらみ合っている。手にはそれぞれ黒い表紙の本。軽く互いの本を叩き合わせ、それが合図。創作朗読の勝負が始まった。1回戦は『シンデレラ』(小林)vs『白雪姫』(片桐)で小林の勝利。2回戦は『銀河鉄道の夜』(片)と『走れメロス』(小)で片桐の勝ち。3回戦『金田一耕介』(小林)と『シャーロックホームズ』では、「早口言葉」を使って片桐を誘導した「真似っこトリック」で、辛くも小林の2勝1敗。

  2. 5年ぶり!!

    山のアトリエ1。大学卒業後、五年ぶりに再会した友人同士。山で芸術活動をしている片桐の元に、東京でサラリーマンをしていた小林が訪ねてくる。互いに顔を見て、まず感想。小林「おまえ、変わんないな〜」。片桐「おまえ、変わったな〜」。片桐は、学生時代のギャグや、塾講師のバイトで好評だった「文明開化」の覚え方を披露し、小林を懐かしがらせる。さらに、眼前に広がるウツクシイ景色(しかし、山の名前は変)に感動する小林。「創作意欲がわくぜ」とばかり、自信作「憂いのオレ」をはじめ、「微笑みのオレ」「暮れなずみのオレ」など、オレシリーズを紹介しようとする片桐。小林思わず「・・・お前・・山、描けよ」。

  3. 父さんの誕生日

    公園のベンチで昼寝をしていた父さん(片桐)、偶然近くの電話ボックスに入る息子タカシ(小林)を目撃。近寄ってアピールしてみるが、知ってか知らずか、タカシは目も合わせない。あまりの無視っぷりに、タカシが電話ボックスから出られなくなったと思いこみ、あの手この手でドアを開けようとするもあえなく失敗。今度はタカシの視界に入ろうと、息子の周りをぐるぐる回りすぎて、「バターになって」しまったり、「バターから父さんへメタモルフォーゼ」したり・・・。 実は父さん、今日が誕生日。プレゼントが欲しくてたまらないのだ・・・特に「息子の人」から。ありとあらゆるパフォーマンスでタカシにそれを伝えようとするが、肝心の息子は、父さんの髪の毛が「ストロベリー味」だろうが、「髪の毛占い」で「巨凶(大凶よりも悪い)」が出ようが無関心。365日に一度の「誕生の舞」も見てくれない。そうこうするうちに、電話を切ってボックスから出るタカシ。父さんが喜んだのもつかの間、すぐさま携帯が鳴って再びお電話中。ようやく電話が終わったと思いきや、なにやら深く落ち込むタカシ。そんな息子を励まそうとするも、力を送りすぎて父はヘナヘナ。ロボ泣きしたり、呼んでも来ないきんと雲に凹んでしまう。そのうち突然、アイスが食べたくなった父さん、パピコをリクエストしながら、得意の一人野球ごっこを始める。背番号は「鬼」。5分身投球(でも玉は一つ)を披露するが、「打つものがない」とあわてまくり。そんな父さんにタカシが渡したモノとは・・・。

  4. 都道府県会議 [MMR]

    我が県を大会開催都市に選んでもらおう奮闘するキバヤシとナワヤ。一見なんの取り柄もない郷土(某埼玉県)だが、さすがキバヤシ、やっぱり情報通。「ライオンズ」を武器に動物好きなニイルセン会長の心をくすぐる秘策を立てる。ところが、本部に電話してみると・・・会長が好きなのは「タイガース」!! あわれ埼玉、万策つきる。

  5. ドバドバ山と「オレオレオレ」

    山のアトリエ2。大作「憂いのオレ」の前で、ドバドバ山の雪解け水に感激する小林をよそに、冷えたビールをうまそうに飲む片桐。う〜ん、実に自然体!山に来た本当の理由(営業スマイルがどうしても出来ないため、人間関係につまづく)を小林から聞きながら、でき上がったスケッチは「タラチネのオレ」!!またもやオレオレづくしの片桐に、小林が一言。「おまえ、鏡で自分の顔ばっか見てんだろ」。そこで片桐、「見てないも〜ん、もう覚えちゃった」。そして、非常〜に含蓄のあるお言葉。「自分にこだわってばっかりで、周りの風景が見えないヤツには、本当の自分なんて見えないさ」。痛いところをつかれた小林、反省モードに入る。そして片桐の表情に感動。「なんてさわやかな笑顔!最高だよ、お前。」

  6. 連続完全立方体と断絶不完全球体

    顔を髪で覆った片桐(マネキンともロボットとも言い難い)の持つ、「三つつながった立方体」のオブジェを取り上げようとする小林。一つはまんまと取り上げたが、二つ目のオブジェがどうしても手に入らない。自らロボットのフリをして、「交代だ、タイムカードを押せ」だの、「あなた、お弁当の時間よ」などと説得するが、真似が不発で小林完敗。突然動き出した片桐に、せっかく手に入れた最初のオブジェと、自分の持ってる「3つのたまご」を取り上げられ、最後には一番大事な「黒たまご」まで!!

  7. アフタヌーン・マイタウン

    視聴率がないも同然のケーブルテレビ局製作スタッフ、小林と片桐。小林は空振りに終わった午前中の取材について(「にんげんの言葉をしゃべる犬のようにはなす人間」←たんに親父が「うぉっわん、ごっはん」と言うだけ。「中央商店街の夏休みはだかんぼうウナギつかみ取り大会」←年齢制限を書かなかったので、裸の大人が乱入。ビデオには「肌色のウナギ」しか写ってない。「緑高校野球部」←紫のラメ入りユニフォームを着る全員ヤンキーの野球部。甲子園に行けるくらい強いのだが、態度の悪さはメジャー級。)、抜群の再生力で愚痴っているが、諦めて企画会議。2通しかこなかったハガキに失望しつつ、「怖い話」の特集を組む相談へ。結局片桐の提案で、自分たちがでっち上げた「呪いのビデオ」の話に、午前中の取材もつっこんでうまくまとめ上げるが、なんとなく罰当たりな気がして後ろめたい。怖がる小林を残して、片桐が隣の部屋へコーヒーを入れに行こうとすると、小林は「モノ質」を要求したり、歌を歌って下さいとお願いしたり。聞こえてきたのは、「はにゅ〜のやど〜♪」、突然「水島〜」と叫びながら、軍人の亡霊にとりつかれた片桐が登場。手にはウナギを振り回し、「ごっはっん、ごっはっん・・」

  8. チェックメイト!

    山のアトリエ3。水割りを飲みながら、6つ並んだ立方体の上に5つのたまごをおいていくゲームをしている二人。ほろ酔い加減で飛び出す思い出話は、プールの水をゼラチンで固めたり、貧乏な同級生が住む段ボールの家に放火したり、むかつくヤツに濡れ衣着せたり、盗んだウォークマンを当人に5000円で売りつけたり、さらにそれを借りたまま返さなかったり・・・と、でるわでるわの悪行三昧。悪さの程度はほぼ同罪だが、ゲームのルールを教えてもらえない小林は、これで75連敗!?勝利を決めるのは、「チェックメイト」の掛け声でおかれた片桐の水割り。ちなみに今回の罰ゲームは歌に合わせてハッチョダンス。

  9. 欲情大富豪

    場所はアフリカンレストラン。乗馬が趣味で名古屋出身、素麺のように色が白い「マチコさん」とディナー中の大富豪・小林氏。その欲情具合はかなりのもので、目つきも会話も物腰も、いちいちすべてがいやらしい。(このネタのために髭を伸ばしていたのかもしれないなぁ。)「ご趣味は?」ときかれ、まってましたとばかりにギターをじゃんじゃかかき鳴らし、岡村ちゃん風の自作の歌を披露。彼の「前歯」や「舌べろ」や「三半規管」は記憶力も感度も特Aらしい。間奏部分で登場した召使いの片桐が、マイク持つ手もそれなりに、クールなラップで盛り上げる。「レンジでたまごビックバーン!」・・・。
    ちなみに3コーラス歌いきった大富豪の決めゼリフは、「僕と結婚しちゃえばいいじゃなぁ〜い」(・・・ん?これって見合いだったの?)

  10. 下北沢の休日

    一緒に服を買いに行く約束をすっぽかされた片桐は、怒りながらも下宿で寝とぼけている小林を迎えに来る。休日の下北沢はまさにショッピング日和。しかし、金もなく眠たい小林は、食事をおごると言われても、服を買ってやるといわれても、どうしても行こうとしない。業を煮やした片桐は、「行かないなら罰金5万」といい、小林は「行くからお駄賃5万」と切りかえす。途中で会話に出てくる「おにぎり?」など、『まづめどき』的要素の裏返しが見られる。結局、片桐に押し切られて小林は家を出るのだが。。。

  11. 片桐教習所

    「君も片桐仁になろう!」が合い言葉の片桐教習所。姿は見せないが、生徒の様子をチェックしている片桐仁のアナウンスに従って、様々なパフォーマンスを習得していく小林。「揺れて下さい」の第一段階から始まって、徐々に、シーツを使う第4段階(3段階の「ナイキ」「逆ナイキ」から、バージョンアップする「水平ムチ」「問答無用」への流れは絶品!)、自由演技の最終段階へと研修は進む。最終段階で「5分身」ならぬ「6分身投球」を披露した小林を待っていたのは・・・。

  12. 5年後に!!

    山のアトリエ4。抱き合って、別れを惜しむ二人。5年後にまた会う約束をする。小林「おまえ、変わるなよ」。片桐「おまえ、変われよ」。それぞれの思いを胸に小林は山を下りる。・・・そして舞台には、一人ノミをふるう片桐。「今、全長50メートルのオレ像に取り組んでいる、やっと「かかと」まで出来た、と暑中見舞いには書いてあった」、と小林のナレーション。次に入れ替わって、小林がおもてに登場。ナレーションは舞台裏の片桐。「あのあと小林は、上司の計らいで元の会社に戻ることが出来た。しかし、あいかわらず笑顔だけは間違っている・・」。名刺を渡しながら、例の「生理的に不愉快にさせる笑顔」。その笑顔と交差するように、ゆっくりと舞台は暗転。。。



4.9.11をのぞくタイトルは、私が考える「立方体の設計図」に基づいて付けた仮題です。内容の要約具合も意図的ですが、長さの違いが好みの差ではありません。ホントのとこは、他のかたがたの詳細で正しいレポートをご参照下さい。いまさらですが「敬称略」申し訳なし。




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立方体の設計図・・・#1
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