現代片桐学概論・前期レポート



****レジュメ、あるいは小林賢太郎氏あての書簡****




8月12日

前略、小林賢太郎様。

単独ライブの準備で毎日お忙しいことと思います。体調の方はいかがですか?
わたしは、先日(8月7日)のオンエアバトルスペシャルで初めてラーメンズを知りました。とにかく笑って笑って、腰が抜けた。あまりにもおもしろかったので、せっかくだから、この感動を伝えようと、こうやって手紙を書いています。

「ラーメンズ」のことは、『教材用片桐仁』をテレビで見ただけ。ただ今回、手紙を書くにあたって、インターネットでファンの方のホームページを見つけ、プロフィールと単独公演の大筋を参考にしました。でも、我慢してライブレポートは読んでません。すごく読みたいんだけど、それ以上に実際にコントとしてみたいから。
だから、お二人について、実体はまだ何もわかってないです。片桐さんの声も聞いたことないし。それなのに怖いもん知らずで、敢えて書いてみた!!

ちなみに同封したのは、現代片桐学概論・前期レポート。

私はこの春、はれて沖縄片大に入学しましたが、両親が下宿を認めてくれなかったので、「通信教育科」に転科を余儀なくされました。今、栃木県から衛星放送形式で、教養課程の小林先生の講義を受けてます。同封したのは、夏休み中の課題だった、前期レポートです。ご一読下さい・・・という設定です。(←こういうファンレターってあり? ま、いいか。)

どう考えても、コンビ名はあの食べる「ラーメン」から来てるとは思うんですけど、レポートの中ではあえて違った方向に大爆走してみました。(^^)
さらに、全く実体のわからない「片桐学」を嘘八百からめて、異常に熱く語るという暴挙に出たりもしました。(それでもそれなりに、つじつまが合ってしまうのが笑える・・)

一見大まじめに、どこまでもインチキくさく、しかもわかりづらく書いてますので、あっちは読まないでいいです。ディテールにこだわった自分を演出したかっただけ。だいたいラーメンズのこと、小林賢太郎という人のこと、まだほとんど知らないし。
(やばいな〜、危ないヤツだと思われたらどうしよ。いたって普通、正気です。)

でも、効用は一つだけありますよ。
賢太郎さんの体調を心配して、かなり上質の眠り薬にしてあります。副作用なし。
寝苦しい夜、ライブのプレッシャーで寝付けない夜に、横になって読んでいただければ、二分と経たずに静かな眠りにつけるよう、おもいっきり漢字いっぱい使ってみました。あははは。

「ラーメンズ」ってコンビ名聞いたとき、もちろんすぐに食べ物がうかんだけど、NHKを見終わって呆然としてるとき、ふと、思い出したんですね。
ドイツ語で、「ラーメン(RAHMEN)」って単語があるんです。男性名詞で、「枠・額縁・輪郭」と言う意味。それで、なんとなく、「・・複数の枠」ってイメージが浮かんじゃった。ドイツ語プラス、複数形作るときの英語のS。

「枠」って一つだと、平面的だけど、いくつかうまく組み合わせると、立体になる。例えば、鳥かごなんかもそうだなぁ。その中でも、特にシンプルでバランスのとれた組み合わせ方をしたものが、「箱」とか「立方体」。
(おっ、単独ライブのタイトルに通じるじゃん!!!!!)

さらに、賢太郎さんが大切にしてる「コント」という表現形式にも当てはまる。
もともと、「コント」って、フランス語で「文芸の短編形式の一つ。機知、風刺、皮肉など知的要素に富み、軽妙なまとまりをもつ短い話。」なんだって。文字文芸のジャンル。
文字で書かれたってことは、平面的=ワクがひとつっきりの状態。
でも、賢太郎さんのやってるのは「芝居としてのコント」ですよね。絶対に、文字じゃそのおもしろさは伝わらない。マイムに台詞、声音に呼吸、相方、観客・・・。すごく三次元的、立体的。ワクが複数になって、立体を作るのと、理屈的には同じ。

ちなみにワクが複数あっても、並べ方、組み合わせ方で別のものになっちゃう。立体を目指せば、「芝居(コント)」になるだろうし、平面にこだわれば、「漫画」(コマがいっぱい)になる。
賢太郎さん、美大出身なんですよね。絵を描いたりするのは、一つのワク(額縁)を使った表現。ただ、そこだけに留まっていられない賢太郎さんが、すごくいい。複数のワクを平面的にうめていく漫画とか、立体的に組み立てるコントとか、とにかくどん欲に自分の表現形式をいくつも試してるみたい。

箱もワクも、本質的には、中に何もはいってない。空っぽ。あるとすれば、「何かを入れる可能性が無数にある」ということ。だから、条件さえ合えば何でも入る。

中に入れるものによって、ワクはいろんな「意味」になる。ラーメンズのコントでもそうらしいですよね。レイゾウコ、テレビ、ツクエ、ベッド....etc。その都度、ワク(箱)は新しい意味として生まれ変わっては、壊されてく。
賢太郎さん得意のマイムもそう。感情や性格やモノや状況や、とにかくすべてを一瞬ごとに「フォルム」「ワク」としてみせてくれる。

演じる方も、見る方も、どっちも「力」いりますよね。案外、箱やワクの中身って、「創造力・想像力」かもしれないなって思う。無限の形を生み出す可能性としてのエネルギー。何もないところから、何か出す。まるで手品みたいです。

相方の片桐さんは、う〜ん、存在自体が箱そのものの人。
何が出るかわかんない。何も出ないかもしれない。ただ、妙にエネルギーを感じる。うまく引き出すと、いろんな形を見せてくれる。おちゃめに爆発してみたりもする。
「教材用片桐仁」しか知らないので、こんなこと言うのもなんですけど。でも、片桐さんの箱っぽさが伝わってくるキャラクターだと思います。噂では『教材用片桐仁』はシリーズがあるんですよね?中学とか、高校、大学まで?教科も、社会系、生物系とかって聞きました。あのキャラクターの箱っぽさ、空っぽさがあれば、何が来てもすんなり入り込んでしまいそう。

ラーメンズのコントは、何度見ても飽きないって、ファンの人がインターネットで書いてました。筋の組立がしっかりしていること、演技が素晴らしいことに加えて、様々なアレンジがあるって。

賢太郎さんは、すごく意識してるんでしょうね。ワクを作りながらも、ワクにとらわれないこと。コントも生き物のようなものだという賢太郎さんの言葉をホームページで読みました。頭の中で育っていくから、タイトルは付けませんって。

たしかに、そうなんでしょうね。せっかく生命力があっても、脱皮できない幼虫が死んでしまうように、一つのタイトルというワクに閉じこめてしまったら、コントも死んじゃう。だらだらと同じことを繰り返す、機械仕掛けになっちゃう。

脚本書いたり、絵を描いたり、芝居したり、片桐さんを演出してみたり・・・。賢太郎さんは、すごく「ワク」に敏感であるように見えます。作ることにも、壊すことにも。
作ったワクにとらわれないように、意識的に新しいワクを探してる。片桐さんに対しても、ワクに「はめる」と言うよりは、その都度、新しいワクを引き出すかんじ。

ラーメンズって、「RHAMEN+S」。どう考えても「ワク(複数)」なんだ。
コンビ名の由来が仮に100%「ラーメンが好きな俺たち」とか、そういうところからきてるとしても、不思議とつじつまってあうもんだな。

・・・・・そんなことをつらつらと考えてました。
とは言え、NHKしか見てないのに、なんでこんなこと言っちゃうんですかね。私。
ちょっと、反省。反省。

二度とこういうアホなことをしないように(ホントはまだやりたいが)、次の単独は自分の目で見に行きます。4日の昼と、5日の昼・夜。今日チケットとってきました。少しは地に足のついた、まともなことをアンケートに書きますんで、今回は見逃して下さい。

それでは、お忙しいとは思いますが、くれぐれも体調には気を付けて下さい。
生でお会いするのを楽しみにしてます。

かしこ




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